潔く捨て去ることができる人
「潔く捨て去ることができる人」
場所は実家のかつての自分の部屋。
私は学校に行こうとしているようだった。
目の醒めるような鮮やかな水色のパンタロンをはいて、上に羽織るコートはどれにしようか、と、洋服ダンスの中を探していた。
ショッキングピンクのコートが目に入った。これは無理だ。合わないと思って、やめた。
下がこれくらい派手なのだから、上に合わせるのは地味めの色の方がよいだろうと、淡いベージュのフードつきコートを選んで着てみた。
姿見にうつしてみると、コートの胸のあたりに大きなしみがついていた。
これではだめだ。と、そのコートをあきらめた。
あとはモスグリーンのコートと黒と黄色の大柄のチェック模様のコートしかなかった。
どちらにしようか迷っていると、向かいのビルの最上階の家具売り場の窓にタンスがズラリと並んでいるのが見えた。見えたのは全てのタンスの裏側だった。
もっとほかにコートはなかったかな、と思って、となりの弟の部屋に行った。
弟の部屋の真ん中には、ベビーベッドくらいの大きさのベッドがあった。
「こんな小さいので寝ていたら、足が出るだろう」
と思っていた。
結局、コートは見つからずじまい。
続く
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